VRサイクリング、またしても山奥へ分け入り上州(群馬県)最南部を進み武蔵国(埼玉県)秩父に至るの巻。佐久平の佐久往還の高野宿を出発し、十石街道で東南東を目指す。本来十国峠に登るルートとなるが、なぜかそのルート設定が出来ず6kmほど北の別の谷筋に入る。南牧村の羽沢、砥澤などの集落を通りすぎて、再度南の十石峠の先の十石街道に戻る。白井宿のある上野村から万場宿のある神流町へと神流川の谷筋を進む。その先で街道を外れて土坂峠を越え吉田を通って秩父市街へ至る107kmという久々の長丁場。途中で十石街道から迂回した南牧村の谷筋は前回の下仁田街道の脇往還で、十石街道と同様、関東から信州を目指す中山道の代替ルートとしてよく利用されていたらしい。今回のルートはそうした街道筋であるがとにかく前回よりさらに山が深く険しい谷の道が延々と続くのだが、険しい谷でありながら傾斜地にへばりつくような家並の集落は途絶えず、また集落自体も大きいのが不思議なのだ。せがい造りという軒先が伸びた大ぶりの格式のある木造家屋が多い。利用者の多かった街道筋というのもあるだろうが、幕府の天領が点在する地域で、米作は困難だが、こんにゃく芋栽培や、養蚕業、そして砥石とか木炭など重要性、特産性の高い産業がそれなりに発達し、それと共に山村文化と呼べるような文化圏を構成していたようだ。神流町の中心地、万場宿など、奥深い山の街なのにひと昔前には映画館が2軒もあったという。そのうちの1軒が自動車修理工場として残っていたりする。こんな所に住む人がいるのかというぐらいの険しい谷間にへばりつく味わい深い家並。他の地域では中々見られない風景。地味ではあるが非常に印象的である。秩父は二年近く前に札所めぐりルートでじっくり巡った地域なので特に付け加えることはないが、今回はその頃に通らなかった吉田を通り、また昨今の国産ウィスキーブームの火付け役ともなったイチローズモルトを産み出した秩父ウィスキー蒸留所を通ってみた。秩父でも山間部ではあるが工業団地の一角に蒸留所はあった。
2024/11/28 十石街道 高野宿〜大日向〜羽沢〜砥澤〜白井宿〜万場宿〜吉田〜秩父
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