VRサイクリング 陸前浜街道2日目の旅路であるが同時に福島原発事故に巻き込まれた悲劇に向き合う旅となった。その意味で今回は特別編。原町宿南の相馬野馬追開催地、雲雀ヶ原祭場地を出発し、街道を南へ進む。延々と里山が続く道筋を辿り、小高宿、浪江駅付近に位置する高野宿、双葉駅付近に位置する長塚宿を過ぎた後、ちょっと寄り道で事故のあった福島第一原子力発電所の周囲をぐるっと周って再度街道に戻るとさらに南下を続けて富岡宿、木戸宿まで進む51kmの行程。今回のルート磐城国、福島県のいわゆる浜通りの中央部は、北部の相馬市、南相馬市と南部のいわき市に挟まれて延々と里山のような長閑な田舎風景が続く土地柄のはずであるが、2011年以降、荒廃した土地柄に変わってしまったようだ。特に小高宿を抜けた付近から人の気配のない荒れ果てた家屋や誰も手入れをしていないのか草ぼうぼうな田畑や野山が目立つようになる。浪江から富岡までは道沿いで観測する限りは人が住んでいる気配はなく、荒廃した廃墟の世界と言っても過言ではない。道には「帰還困難地域につき歩行者、二輪車の通行不可」の看板が立っている。あるいは全くロックアウトされた道も多い。駅前の商店街だった市街地もほぼ更地になってしまっている。国道沿いのファミレスや大型店舗も全て廃墟、あるいは取り壊されて更地。あちこちで除染作業が行われているが先は長そう。一方で最近避難指示解除が広まってきて、そうした更地に新たなビルが建ち始めたりもしているがまだ数少ない。印象的だったのは原発に程近い双葉駅前の打ち捨てられた建物に、地元を盛り上げるためにFutaba Art Districtというプロジェクトが壁画アートを展開していた。個人的には昨年北アイルランドのベルファストで見たアイルランド紛争の跡地の壁画アートを思い出して、より廃墟感が感じられたのだった。福島原発の内部は近くまで行ったがほとんど伺いしれなかったが、周辺の汚染状況はやはりまだまだ十年単位で尾を引きそうな状況は見てとれた。
2024/8/15 陸前浜街道 2日目 原町宿〜小高宿〜長塚宿(双葉)〜富岡宿〜木戸宿
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