VRサイクリング 北上山地を抜けて三陸海岸に出て南下する。民話の里遠野を出発し東へ向かい、残りの北上山地を越えて製鉄の町釜石へ。ここまでが釜石街道。釜石からは気仙道に入り、海岸線に沿って南下して深い入江の湊町大船渡まで85kmの行程。今回のハイライトは前半釜石街道、山の中の釜石鉱山跡と釜石市街かな。北上山地の仙人峠という険しい峠を越えて一気に下ったあたり、まだ奥深い山奥に明治から昭和にかけて日本最大の鉄鉱山として君臨した釜石鉱山があった。いまだに残る鉱山事務所は国の有形文化財に登録されているが、それより山肌に古代遺跡のように構造物の痕跡の残る鉱山跡と、山奥に廃石を積み上げた巨大なダムのような構造物のインパクトが凄い。これは正に日本の近代化を支えた巨大な遺跡であるな。最盛期にはこの山間に数千人もの人々が暮らす町があったというが現在はその痕跡もない。釜石は漁港もあるが、何と言っても明治時代に日本最古の製鉄所が稼働し、現在に至るまで製鉄の町として繁栄してきた工業都市であり、また付随する港湾設備が重要性を帯びた港湾都市として三陸海岸の中でも特異性と重要性を持った町であった。釜石駅前には商店街はなくいきなり製鉄所の敷地が広がっているのだ。気仙道は道筋がはっきりしないので、リアス式海岸の岬の部分は岬を巡らずトンネルや峠で真っ直ぐ次の入江に向かう国道を走り、入江の地区では国道を降りて集落や漁港を巡ってゆくルートとした。この地域は東日本大震災の津波被害が大きく、釜石や大船渡など港に市街地が続く町は壊滅的な被害となったが、一方で途中の吉浜という入江地帯では、明治時代の大津波被害の後高台への移転が進められていたため、被害が最も少ない地域となり「奇跡の集落」と呼ばれている。今後は三陸海岸地帯は否応なくその方向性が加速されるのであろうな。次回はさらに津波被害の大きかった海岸地帯をゆく。
2024/7/3 釜石街道・気仙道 1日目 遠野〜釜石〜大船渡
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