VRサイクリング 福島盆地から多分国内でも屈指の険しい山塊を越えて米沢へ向かう。江戸時代の板谷街道、明治時代の萬世大路を利用するルート。前回で終端した羽州街道と奥州街道の分岐点、桑折追分をスタートし、天下の名湯飯坂温泉を経由して福島市街から板谷街道に入って西へ向かう。板谷街道は庭坂宿までで、その先はより北側で山を越える萬世大路と呼ばれる明治以降の道に乗り換える。これはほぼ国道13号を走ることになる。栗子峠を越えるとまもなく米沢市街。何箇所か名所を巡って米沢駅をゴールとする76mの行程。まず飯坂温泉。山麓の深い谷沿いに広がるレトロな味わいのある温泉郷。特に日本武尊や松尾芭蕉も入ったという渋い木造の共同温泉場鯖湖湯の佇まいには魅了された。ここはいずれ滞在したい温泉場の筆頭だな。うちの父親が「飯坂温泉いいぞ」と言っていたのを思い出す。次に福島から米沢への山越え手段の変遷であるが、江戸時代まではほぼJR奥羽本線(山形新幹線)に沿った板谷街道で板谷峠を越えてゆくルートであったのが、明治時代により北側の栗子峠を越える馬車道を難工事の末に開通させ、明治天皇が「萬世大路」という中国風の名前を付けた。昭和の戦後には萬世大路は国道13号となり、ついでに一番険しい栗子峠を回避するトンネルルートとした。現代では東北中央自動車道という高速道路が平成29年に開通し、栗子峠の下を国内5番目に長い9kmの栗子トンネルでサッと抜ける。このような数世代もの峠越えの道は全て残存しているのだが、今回のルートでは、一応Googleマイマップ上では明治期の萬世大路の栗子峠が唯一作成可能なルートで、しかも非常に残念なことにその一番険しい栗子峠を越える萬世大路の旧道部はストリートビューが付いておらず、峠越えはVRサイクリング体験上はワープという禁じ手を使わざるを得なくなった。それだけ福島・米沢間は国内でも険しい山越えということなのであろう。最後に米沢であるが、酒醸造や米沢織などの伝統産業の盛んな上杉家米沢藩の城下町ということで、伝統的な建築物の多い落ち着いた町並みが印象的であった。そういえば日本では和牛を売りにしている地域は山ほどあるが、ここは特にそのアピール度が松阪辺りの上をいく感じで、あちこちに米沢牛を供するレストランや料亭を多く見かけた。
2024/4/17 板谷街道・萬世大路 桑折追分〜飯坂温泉〜福島〜庭坂宿〜米沢
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