VRサイクリング 道東逍遥ルート2日目。今回は主に中標津町の根釧台地を気ままにぐるっと巡る。サケの町標津をスタートして以下のポイントを巡った。天空への道→川北→上武佐→ミルクロード→開陽台→養老温泉→モアン山麓→計根別。そしてゴールをこの地域の中心である中標津市街とした99kmの行程。あちこち巡ってみたが、基本的にはどこも金太郎飴のように同じような風景だった。それがこの地域特有の牧草地とそれを格子状に取り囲む防風林の風景。幅180m、辺の長さ3kmの格子状防風林のグリッドが、中標津町、標津町、別海町、標茶町に渡って二次元的に延々と展開し、スペースシャトルエンデバーからもその地上模様が確認できたという。地上の景観としては、どこへ行っても防風林の壁があって最大3km程度の広がりの牧草地の眺めで正直だんだん飽きてくる。それでも山沿いの開陽台からは防風林の格子模様付きの緑の絨毯が地平まで続く絶景が拝めた。またモアン山付近の緑の丘陵風景は格子状防風林の呪縛から抜けた開放感のある絶景であった。格子状防風林は大正から昭和初期にかけての開拓事業の過程で形成されたらしいが、現在のこの地域の酪農王国の形成は戦後の根釧台地パイロットファームや新酪農村建設事業といった国家事業による入植及び開拓推進と農家のたゆまぬ努力の成果によるものである。山田洋次監督の名作「家族」はこのような背景の元、九州の炭鉱町から中標津へ入植する家族の 引越しの過程を描く物語で、その物語の最後に今はない国鉄標津線中標津駅にたどり着き、開陽台の付近の入植地での生活が始まる、という筋になっていた。山田洋次監督の「遥かなる山の呼び声」も中標津の牧場を苦労してきりもりする未亡人とそこへやってきて家族に受け容れられる訳ありの風来坊の話で、そのTVドラマ版のロケ地の牧場も立ち寄った。「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」でも中標津町の養老牛温泉がロケ地になっていたりして、倉本聡の富良野ほどではないにしても山田洋次の中標津も大いに縁があるように思われる。