VRサイクリング 知床を抜けていわゆる道東エリアをしばらく2次元的にあちこち回ってみたい。名付けて道東逍遥ルート。「逍遥」とは気ままにあちこちを散歩することとある。散歩ではなくサイクリングであるが「気まま」がキーワードにはなるので当てはめてみる。まずはその1日目。知床の東海岸の中心地羅臼をスタートし、知床半島の東海岸を根本に向けて進む。知床半島を抜けたところで日本有数の鮭の産地標津を通り、桜海老のような野付半島の先端をゴールとする68kmの行程。本日のルートは根室海峡に面した海岸沿いであるが、この海岸ルートを特徴付ける1つは北方領土国後島が常に左手に眺められること。特に標津から野付半島においては国後島と10数kmしか離れておらず手に取るように近くに見える。野付半島は両側を海に挟まれた細長く茫漠たる原野が広がるのみで、サケの定置網の番屋が点在する以外は何もない寂寥感がつのる場所であるが、なんと江戸時代には国後島に渡る中継地として賑わい、遊郭まで備えた幻の町キラクがあったらしい。全く想像すらできないが歴史の浪漫だなあ。もう1つ今回のルートを特徴付けるのはサケの聖地であること。根室海峡に注ぐすべての川はサケ・マスが遡上する川で、毎年秋に繰り返される自然のサイクルでこの地域の人々の営みを1万年に渡って支え続けてきたという。江戸時代には将軍への献上品となるほど高品質さを誇り、そして今もなおサケがこの地域の基幹産業を担っている。標津の町の近くを流れるポー川もそうしたサケが遡上する川の一つだが、その流域には無数の古代住居跡があり遡上するサケで生計を立てていたことが窺える。湿原地帯を狭い水路で無数に蛇行するポー川には名前も含め心惹かれるものがある。この川でカヌーをしてみたいものだ。