VRサイクリング 奥州街道9日目。これぞみちのくゴールデンルートを往くの巻。岩手県最南部の都市である一関宿をスタートし、いつの間にか近くにすり寄ってきた東北の大河、北上川と共に北へ遡る。いにしえのみちのくの都、平泉では寄り道モードでグルっと名所を巡り、高級牛で有名な前沢宿、みちのくの小京都と呼ばれる水沢宿と素敵な街並みの街を通り過ぎ、昔の黒沢尻宿、今の北上市街に到達、さらに再度寄り道モードで北上川沿いの桜の名所北上展勝地公園まで54kmの行程。今回のハイライトは何といっても平泉である。平安時代後期100年間近く藤原氏三代に渡ってみちのく王国の首都として輝いた。現代においても毛越寺、中尊寺やその他の遺構からその余韻を感じ取ることができる。村ぐらいの狭い地区の中に毛越寺、中尊寺以外にも観自在王院、無量光院という数々の大寺院が甍を競い、政庁の伽羅御所、一族の居館となった平泉館や高館、そしてみちのく中の産物が集積される人口数万の産業都市であった。現代においてはそうした輝きの余韻を除けば日本の中心から遠く離れた北上川沿いの低い山地が迫る小さな田舎町に過ぎないのが嘘のようだ。もう一カ所水沢宿とゴールの北上市街の間にあった胆沢城址というだだっ広い荒野。ここは藤原三代よりさらに昔の平安時代初期に蝦夷を征伐した坂上田村麻呂が鎮守府胆沢城としてみちのく統治の中心とした場所であった。城址の広さが当時の朝廷のみちのくを制圧し日本という国土の広がりを持った国家を整えようという意志が感じられる。今回のルートはいにしえの異なる2つの時代においてみちのくの中心となった地帯であった。