VRサイクリング、日向街道2日目は国東半島を横断するのだが、街道のルート情報がどうもあやふやで決定版がない。どうやらJR日豊本線に沿った日向街道は適当なところで港に出てその先海路を利用したりとかのオプションが多くあって確定したルートがなくいくつかのルートが並行して存在していたりするようで先が思いやられる。本日の国東半島横断ルートも調べると3通りあることがわかった。1つ目は古代からあるザビエルの道と呼ばれる宇佐からすぐ南下して西側の山の中を抜ける過酷とされるルートであるがストリートビューが通せないのでNG、2つ目は日豊本線や国道10号が通る道で江戸時代からメインのルートである。実は一旦このルートに決めて走ってみたのだが、ほぼ国道沿いで全く面白みのないルートであった。3つ目は一番東側、国東半島に少し食い込んで横断するルートで、このルートは昭和が残る町として売り出している豊前高田や山岳仏教の聖地国東半島のエッセンスを味わいつつ、最後は着物が似合う歴史的街並みで売る城下町杵築に至るルートで、ルートとしての面白さが格段に上なのでこのルートを最終的に採用することにした。
地図で見ると円形に突き出した国東半島は実は渋いことに新婚旅行で訪れた地なのだが、非常に特異な地域である。郷と呼ばれる集落のある谷や盆地が低い山々で相互に隔てられていて、半島内部を走ってゆくと山から郷に入ってまた山に入るという感じで箱庭の中を延々とぐるぐる回らされている気分になる。かなり広い地域がどこまでもそういう感じなのでそのうちどこを走っているかわからなくなる。風景はどこまでも穏やかな日本の原風景的田園と山村の眺めである。そうした地域に古代、宇佐神宮の八幡神が何故か仏教に救いを求めた結果、六郷満山と呼ばれる特異な山岳仏教が国東半島全体に広まり数多くの寺院が建立された。これが神仏習合、つまり神社と寺院が渾然一体となったその後の日本の宗教状態の先駆けとなったようだ。我々が仏教と神道を区別して捉えているのは明治維新以降、神仏分離が行われた結果らしい。本日のルートでもそうした山岳仏教の聖地である富貴寺と真木大堂などに寄り道してみた。(多分新婚旅行でも訪れたと思うがすでに記憶にない)こんな辺鄙な場所に国宝級の遺物が残っているのが不思議な気がする。
ゴールの杵築は今まで訪れたこともなく全くノーマークだったが、非常に印象的で雰囲気のある城下町だ。商人の町の谷間を挟んで2つの丘が武士の町という類を見ないサンドイッチ構造で、見事に古い佇まいを残した街並みにそうした地形による町の構造がよく眺め渡せるようになっている。リアルに行ってみたい町としてはこれまでのVRサイクリングの旅でBESTと言っていい。
参考情報: 六郷満山開山1300年