VRサイクリング 三河・尾張の歴史ある産業の町々を辿り常滑街道で知多半島先端まで到達する。抹茶の町西尾を出発し、職人の町碧南を経て知多半島へ渡り、海運と醸造の町半田から知多半島を横断して伊勢湾を望む焼き物の町常滑へ進む。ここまではほぼ西へ向かってきたが、ここから常滑街道に入り知多半島の伊勢湾岸沿いに南へ向かい半島先端の師崎のフェリーターミナルをゴールとする63kmの行程。今回も地名は聞いたことあれどほぼ足を踏み入れたことのない地域だが、なかなか中身の濃い楽しいルートであった。前半はそれぞれ国内でも有数の特産品産地でもある歴史ある4つの魅力的な町を巡っていった。西尾は前回城下町の風景は観たが、西の田園地帯へ進むと茶園が広がる。それも全国生産量の20%を占める抹茶の生産地なのだ。矢作川を渡って碧南に入るとガラリと風景は変わる。年季の入った町工場や工房が建ち並ぶレトロな街並み。さまざまな物が造られているが、三州瓦や三河みりんなど全国にその名を轟かせる逸品が数多くある。街並みも下町的でありつつ京都のような品が感じられて独特。ここから海底トンネルを潜って知多半島の半田に来ると倉庫や蔵が建ち並び海運とともにミツカンを初めとする醸造産業で栄えてきた町。ミツカンの黒い蔵が建ち並ぶ半田運河沿いの風景はここだけのものだ。常滑はさらに魅力的な町。窯元が建ち並ぶ丘の迷路のような道を進むと特有の登り窯が林立する風景に出会う。また建物は江戸時代から昭和までのレトロ建築物のオンパレード。そんな町とは知らなかっただけに魅了されてしまった。常滑焼と言えばうちにも急須があったなあ。招き猫の置物も全て常滑らしい。その先の常滑街道沿いのハイライトとしては我が昔の勤務先ソニーの創立者盛田昭夫氏の実家の酒造メーカー「ねのひ」ブランドで知られる盛田株式会社。長閑な海岸沿いに酒蔵というよりも工場という規模で展開していて驚いた。また盛田本家の屋敷というより御殿も隣接して建っていて、ここから出てきたんだ、と感じいった次第。その先の南知多地域の海岸は見事に洗練されたリゾート化が進んでいて驚いた。東京だと南房総か伊豆という感じだが、名古屋からだとずっと近くていいじゃないかと思った。半島の先端まで進むと渥美半島と紀伊半島の鳥羽付近がくっきり近くに見える。その間にポツンと見える小さな島は三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった神島のようだ。次回は今回ゴールの師崎からフェリーで渡った渥美半島の伊良湖岬からスタートする。