VRサイクリング 横須賀街道で遠州(静岡県)西部、御前崎付近から浜松まで海岸近くの道で進む。江戸時代の東海有数の湊町相良を出発し、旧道がそのまま残る横須賀街道に入り、地代宿から街道を外れて海岸沿いの道で静岡県最南端の御前崎へ。灯台の先を回ってしばらく海岸沿いを進むが、また少し内陸へ入って浜岡原発の門前を経由した後、横須賀街道に戻り街道を西へと進む。城下町横須賀宿を通り過ぎ、さらに西へとずんずん進み、昔は渡しを利用した天竜川は国道の橋を渡った後、北西へ方角を転じ楽器の町浜松は浜松駅南口をゴールとする68kmの行程。御前崎は昔から何となく行ってみたい場所だったが、段丘上に聳える白亜の灯台が美しい。VRでも全国で様々な灯台を見てきたが、ここの灯台は突端の段丘上というロケーションといい姿形といい見事に映える。映画『喜びも悲しみも幾歳月』の舞台の一つにもなった。横須賀街道はうねうね曲がりくねった昔の街道らしい旧道がずっと残っていて走っていて楽しいが、特に街道の中心地である横須賀は江戸時代に栄えた城下町で、今も古い商家が街道沿いに建ち並ぶ。不便な地でもあり観光資源として認知されていない分長閑なタイムスリップしてきたような街道情緒が漂っていて心惹かれる町だ。毎年開催される遠州横須賀街道ちっちゃな文化展の時だけ街道沿いの古い商家が開放されて人を集めているらしい。ゴール前、浜松市街南東部には、楽器メーカー、河合楽器や鈴木楽器の本社や工場が点在していて、この町ならではの楽器造りの中心地を体現していて印象的であった。駅前に聳える浜松市唯一の高層ビル、アクトシティ浜松はホテルオークラが入っていて、20年ほど前勤務していたS社と関西のライバルメーカーP社との珍しいコラボプロジェクトに参加した際、ちょうど中間の浜松のこのホテルで数日間共同合宿をして仕様書をまとめたのが懐かしい思い出だ。この高層ビルの形が、スライドバー付きのクロマチックハーモニカを半分に切って立てたデザインを意図していたというのは最近知って驚いた。さすが楽器の町だが、私が昔から好きで演奏するが一般には知られていない楽器をデザインしたというのと上記の合宿の思い出と合わせて勝手に因縁を感じる次第である。